<金口木舌>町の魅力発信


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 トワ・エ・モワの「虹と雪のバラード」は1972年の札幌冬季五輪のテーマ曲だ。「町ができる 美しい町が」と祭典に人が集い、にぎわう町の高揚を歌った

▼2020年の東京五輪・パラリンピックで車両基地として活用されるのは「日本の台所」として親しまれた東京・築地市場の跡地。豊洲市場が新たに開場し、町が生まれ変わる
▼那覇でも新たなランドマークの整備が進む。複合施設のカフーナ旭橋に入ったバスターミナルの運用が始まった。商業施設「那覇オーパ」も開店した。モノレールの車窓からうかがう外観は都会そのもの
▼そんな華やかさはないけれど、町の魅力を発信する取り組みが嘉手納町で始まった。町商工会加盟の店主らが専門知識を材料費のみで伝授する「かでなまちゼミ」だ。飲食や装飾、金融、美容まで幅広い全23講座
▼時計職人が腕時計を長持ちさせる方法、沖縄そば店は無添加だしの取り方を伝える。ストレス改善のアロマ講座もある。自分たちが培ってきた技術で客に役立つことは何なのか。考え抜いた看板講座の数々だ
▼商店街活性化の手法として全国に広がり、沖縄、浦添、那覇の各市で定期開催中。県内町村では初の取り組みだ。もうけ一辺倒の「モーキジク」ではない。嘉手納のファンづくりが目的。店主や他の受講者との交流は、地域ならではの魅力を感じさせるはずだ。