<金口木舌>ニュースの値段


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 今年は、地震に大雨、台風と全国各地で災害に揺れている。16日付の本紙も、天井まで冠水した車の写真とともに本島中南部での大雨被害を伝えた

▼新聞がなかった江戸時代は瓦版が大衆の報道機関だった。あだ討ちや流言のたぐいのほか圧倒的に多かったのが災害だ。古くは17世紀後半の火災が記録に残っている
▼映画の時代劇では威勢のいい掛け声とともに瓦版をたたき売るシーンが見られる。だが実際は、顔を隠した売り子が内容を読み上げて売るスタイルで「読み売り」と呼ばれた
▼瓦版は当時で3~5文だった。換算基準にもよるが、現代だと60円から数百円程度。今で言えば、路上での読み上げこそないものの、コンビニや駅の売店で新聞が百数十円で買えるのに似ている
▼情報を得るのにお金がかかるのは今も昔も同じだ。総務省の調査で、ニュースを得る手段で紙の新聞の割合が減り、ネット上のニュース配信がそれを上回った。今ではその多くをスマホなど携帯電話が担う
▼政府は、携帯電話料金の値下げに向けた会議で、格安スマホ業者が通信回線を借りる際の接続料の引き下げの検討に入った。先の沖縄県知事選では、ある候補が携帯電話料の削減を掲げ、菅義偉官房長官も応援演説で取り組みを強調した。結果は別の候補が当選したが、削減論議は進む。こちらは沖縄特別措置ではなかったらしい。