<金口木舌>渋谷区もいかがですか


この記事を書いた人 琉球新報社

 見通しが外れたとは、まさにこのことだ。ハロウィーンを楽しもうと東京・渋谷に大挙して集まった若者たちの一部が暴走し軽トラックを横転させるなどして騒然となった

▼渋谷区は新宿区と連携し、夜間も飲食や娯楽を健全に楽しめるナイトタイムエコノミーを推進すると9月に発表したばかり。夜間の消費喚起事業を進めていくはずだった。ハロウィーンではトラブルを避けるため早めに閉める店舗もあった
▼非日常を楽しみたい気持ちは理解できる。だが、仮装した大人が集団で繰り出した揚げ句、迷惑行為をしてしまうようでは、一般の消費者を遠ざけてしまう
▼浦添市のてだこまつりは、子どもから大人まで大勢の人でにぎわう。かつては一部の若者たちが乱闘騒ぎを起こしたこともあったというが、現在はほとんどトラブルはない。祭り終了と同時に地域のエイサーや旗頭を担う関係者らが夜間巡回指導に参加し、トラブル防止に一役買っている
▼夜間ではないが、新宿区には毎年100万人超を集めるイベントがある。「新宿エイサーまつり」だ。渋谷のハロウィーン同様、街は熱気であふれるが、秩序は保たれ、らんちき騒ぎには発展しない
▼きょうは「文化の日」。出演者と観客を一体にするエイサーは誇るべき沖縄の文化だ。渋谷区もエイサーを取り入れたイベントを考案してはいかがだろうか。