<金口木舌>チャグムと沖縄

 綾瀬はるかさんが主演したテレビドラマ「精霊の守り人」。架空の世界を舞台に精霊を巡る冒険や国と国の争い、不条理にあらがう人々を描く。3部作が今年2月まで放送された。原作は上橋菜穂子さんの小説

▼主人公の一人チャグムに対し、強国の王子は服従を迫る。強大な権力を誇示した後、穏やかな口調で告げた。「おれの翼の下に入ることを選べば、豊かな暮らしをあたえてみせる」
▼帰国の船でチャグムは想像する。「けっきょく手先となり、民は隣国を攻める長い戦に駆り出されるだけだ」。暗い未来を避けるため監視を逃れ海に飛び込み、国の危機を救う旅に出る
▼チャグムと沖縄が重なる。政府は「沖縄に寄り添う」と繰り返すが、実態は依存。名護市辺野古の海には耐用年数200年ともいわれる新基地の建設を強行する。基地と振興策のリンク論もはばからず、意に沿わない沖縄には兵糧攻めをにおわす
▼日本国憲法は3日で公布から72年。安倍晋三首相は自衛隊明記を主張し、改憲へのアクセルを踏む。今国会でも「今を生きる政治家の責任だ」と持論を展開した
▼「戦争が起きてしまったら、責任は政治家だけではなく、その時代に生きたすべての人にあると思う」は上橋さんの言葉。首相の語る責任の範囲に沖縄は入っているのか。未来への責任は沖縄にもある。だからこそ異を唱え、あらがう。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス