<金口木舌>島の自己決定権

 南太平洋のフランス特別自治体ニューカレドニアで独立の是非を問う住民投票があった。独立反対が56・4%を占めた。1853年にフランスが併合したこの島は、国連が指定する「非自治地域」の一つだ

▼植民地時代の支配層だった欧州系移民と先住民族カナクは貧富の差が大きい。カナク主体の独立運動が1980年代に活発化し、多数の死者を伴う衝突も起きた。住民投票は98年に独立派、反対派、仏政府の3者で結んだ協定に基づき実施された
▼島は植民地時代に流刑地とされ、現在はフランス軍の基地や実弾演習場がある。大国に振り回される歴史は沖縄と似ている。太平洋戦争前には800人を超える県人が島に渡り、ニッケル鉱山などで働いた
▼ジャーナリストの三木健さんの著書「空白の移民史」にはカナクの人々と結婚した県人の話もある。県人は戦時中に収容所に隔離され、戦後は故郷に強制送還された。多くは現地出身の妻や子どもと生き別れた
▼父や祖父を失った県系2世、3世のことが沖縄で報じられたのは90年代以降だ。現在は交流団体が双方で設立され、多数の県系人が世界のウチナーンチュ大会に参加している
▼住民投票は2022年までに最大であと2回行われる。島の人々が自己決定権を行使しようとしている。その意思が尊重されるよう、縁の深い沖縄から見守り続けたい。