<金口木舌>「なぜ」で誤りを回避


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 アルファベットの略語を言い間違えることがよくある。「TPP」を「TTP」、「LCC」を「LLC」といった具合だ。略す前の単語に言い換え、意味を考えて口にすると、誤りを回避できる

▼物事の正しい理解には、どうしてそうなるのか意味や理由を踏まえることが重要だ。先日、動画投稿サイト「YouTube」に家具量販店IKEAが投稿した実験が話題になった
▼二つの同じ植物に一方はけなす言葉、もう一方は褒める言葉を1カ月間かけ続ける。結果、前者は枯れ、後者は元気になった。言葉が物質に変化を与えるという実験例はほかにもある。だが、これらはいずれも科学的には根拠がないという
▼「朝食を抜くと太る」という言説もよく耳にする。単純に考えれば、1食抜くのだから体重は減りそうなものだ。しかし確かに肥満やメタボリック症候群になりやすいことが知られている
▼名古屋大の研究チームが朝食を取らないと肥満になる仕組みを解明した。肝臓での脂質代謝や体温に関する体内時計が乱れ、エネルギーの消費が減って太るという。理由さえ分かれば説得力が増す
▼ありとあらゆる情報は根拠が示されなければ説得力はない。だがネット上のフェイクニュースを信じ込む人が後を絶たない。どのような理屈に基づいているのか突き詰めて考えていくと、情報の危うさに気付くことができる。