<金口木舌>夢をつなぐ挑戦


社会
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 「盤石」とはどっしりと地についた大石のこと。これから転じて物事が安泰であることも指し示す。今回は盤石の試合運びだったと言えるだろう

▼スペインの地に響いた気合が会場の空気を一変させた。空手世界選手権で個人3連覇した喜友名諒選手の形である。金城新、上村拓也の両選手と挑んだ団体形も連覇を果たした
▼個人、団体とも決勝は開催地スペインと戦った。その地元ファンを沸かせたというからよほどの迫力だったはずだ。本物を見て心を揺り動かされたとき、敵味方に関係なく声援が上がる
▼切れのある形を打つことができるのは大地に根を張るような下半身の強さ、腰を入れることで得られる安定感だろう。粘りある動きであるムチミといった神髄を大切にしてきた沖縄空手の真骨頂だ。文字通り迫真の形で頂点に立った
▼東京五輪での活躍への期待がいや応なしに高まる。世界選手権で連覇した精神力で果たしてくれそうだが、沖縄からは温かく見守りたい。年齢を重ねる選手たちの形の風格がどのように変化するのかも見続けていたい
▼喜友名選手らが常に意識しているのは沖縄のこと、子どもたちのことだ。恩師の海外での活躍を見聞きし、あこがれが原動力となったからだろう。子どもたちに夢をつないでいくためのたゆまぬ努力はメダルよりも尊い。また深い感動を与えてくれるはずだ。