<金口木舌>「進化論」揺るがす調査


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 人類はもともと人だったのかもしれない。ダーウィンの「進化論」を揺るがす報告が今年発表された

▼米ニューヨーク・ロックフェラー大学とスイス・バーゼル大学の研究者が調査したのは「DNAバーコード」。遺伝子データバンクに保存されている10万種の生物種のDNAから抽出された遺伝子断片を調べた結果、人類を含む地球上の生命種のうちの9割が10万~20万年前に出現したと結論付けた
▼事実なら、人類の祖先は約700万年前に中央アフリカ西部に暮らしていた霊長類だったという常識が覆される。かつて西洋で広く信じられてきた旧約聖書の「天地創造」は科学によって否定されたが、進化論もまた科学の進歩によって疑われる時代になった
▼ダーウィンは生物には進化に伴う「中間種」が存在するとしたが、今回の調査では「生物種には明確な遺伝的境界があり、中間種はない」と否定。つまり、猿から人間に進化する途中の「猿人」が存在しないことになる
▼人類が突然出現したとなると、一体誰がつくったのか。アマミキヨが神の世界「ニライカナイ」から降り立ち、国づくりを始めたという沖縄の伝説はもしかして何らかの真実を示唆するものかもしれない
▼1859年の今日、ダーウィンの「種の起源」が刊行された。今日は「進化の日」。わくわくしながら生命の起源に思いを巡らさせるのもいい。