<金口木舌>全ての人に有益な障がい者雇用


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 海外の風習でも受け入れ、自らのものにしていくのは日本の国民性だろうか。広告で目にした人もいるはずだ。「ブラックフライデー」と銘打たれたセール。米国の感謝祭の翌日に当たる金曜を指す

▼クリスマス商戦開始日で、どこでも黒字だからこう呼ばれるとされる。日本でも小売り大手が始めた。そもそも天の恵みに感謝するのがこの祝日の目的だろう。感謝の思いあふれる宴が沖縄市であった
▼アビリンピックの建築CAD部門で金賞を取った知念靖さんの祝賀会だ。勤務先の設計事務所が開いた。障がいがあっても意欲の高い人を育てたいと知念さんを採用して5年
▼懸命に学ぶ知念さんは大きな戦力に育った。宴の主人公は「多くを教えてもらった」と仲間への思いを語った。金賞受賞の日、知人から祝いの昼食に誘われた知念さんはこれを断った
▼いつものように弁当を買い、職場で食べた。信頼してくれる仲間の元に早く帰りたかった。報告もしたかったのだろう。知念さんの職場には「障がいは個性」との考えが広がっている。お仕着せの概念ではなく実感を伴ってだ
▼職場の雰囲気はより優しく穏やかになったという。障がいの有無に関係なく機会が均等なのは米国では当然のこと。この国でもさらに推し進めるべきだろう。社会の多様性の実現につながる。誰にとっても有益な障がい者雇用の促進である。