<金口木舌>外務大臣がミッションを依頼したのは


この記事を書いた人 琉球新報社

 日本の外務大臣がある男にミッションを依頼した。その男の国籍、年齢、本名も不明だ。ただ分かっているのは超A級のスナイパー(狙撃手)であるということだけ。確実に標的を仕留めることで有名だ

▼ミッションの内容は、在外日本人の安全対策に一役買ってもらうことだった。テロが絶えない海外で日本人も標的になりかねないので、海外在住者だけでなく旅行者や中小企業などに向けて、海外で注意すべき点を啓発している
▼その男とは通称「ゴルゴ13」と呼ばれる。外務省が、さいとう・たかをの人気漫画「ゴルゴ13」とコラボした。海外の危険情報が目立ちにくい中、親しみやすい漫画のキャラクターに頼った
▼2019年春からの中学校の道徳教科書でも漫画が引用される。世紀末の救世主を描いた「北斗の拳」や、無免許の天才外科医が主人公の「ブラック・ジャック」など人気漫画が教科書に登場する
▼漫画がネット上で無料で読める海賊版サイトの存在が問題になっている。削除しても新たに別サイトができる。本来なら買って読む漫画がただで流出し経済的損害が出ている
▼閲覧防止(ブロッキング)やダウンロードの違法化も検討される。だが規制を作ってもまた別の手口が生まれる。いたちごっこだ。作家が食べられないと漫画は続かない。良い作品を読み続けたいからこそ、お金を払って読む。