<金口木舌>「災」の一年


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 秋田県は「金足(かなあし)農業高校」、鹿児島県は「噴火」―。グーグルで今年、都道府県名と一緒に検索された地域別ランキング1位の言葉だ

▼山口県は「2歳」。同県周防大島町で発生した2歳男児の行方不明ではスーパーボランティアも話題になった。東京都は「東京医科大学」。医学部の不正入試問題で注目を集めた
▼九州地方の福岡、佐賀、長崎、大分各県の1位は「台風」だ。多く検索された言葉から、この1年の出来事がうかがい知れる。地域ごとの特色も浮かび上がり興味深い。沖縄県の1位も「台風」だった
▼気象庁によると、沖縄・奄美に今年接近した台風の数は12。1951年以降では66年、2012年と同数で、04年の15に次いで多かった。土砂崩れや冠水などの被害のほか、台風24号では最大25万戸余が停電するなど県民生活に大きな影響を与えた
▼日本漢字能力検定協会が12日発表した今年1年の世相を表す漢字も「災」だった。各地の地震や西日本豪雨、記録的猛暑など日本各地で大規模な自然災害が発生した。防災意識がさらに高まった年でもあった
▼沖縄県も「災」の1年だった。台風だけではない。多くの県民が反対する中で、政府が名護市辺野古への土砂投入を強行したのは「人災」ではないか。「人災」は止めることができる。平成最後の来年こそ、沖縄から「災」が取り除かれることを望みたい。