<金口木舌>音のさざ波

 毎年12月に出現するふたご座流星群は先週末が見頃だった。1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と並んで三大流星群と呼ばれる

▼物体が動くと周囲の空間が揺れて波のように宇宙に広がっていく現象を重力波という。天体が内部から発し大きな重力波だと地球にも到達する。目で見える光に対して、耳で聞く音のようなものと言われる
▼アインシュタインが1916年に存在を予言した。それから約100年後の2015年、ブラックホールが出した重力波が初観測された。この研究は昨年のノーベル物理学賞に輝いた
▼天体内部から出る重力波と表面から出る光を同時に観測することで、星の新たな姿を見ることができる。重力波を使った観測の発展で天文学は新たな領域へと進んだ
▼こちらも新たな研究分野だ。沖縄市立郷土博物館で企画展「音で知る自然・沖縄のサウンドスケープ」が開催中だ。やんばるの森などさまざまな環境下で録音された音を集めた。耳になじみはないがサウンドスケープ(音の風景)研究によってその地域の生物の動態や変化を知ることができる
▼鳥のさえずり、虫の鳴き声が共鳴する。重力波は「時空のさざ波」とも呼ばれるが、こちらは生き物の声が木々の間に共鳴し、波のように広がる。文字や映像など視覚情報が氾濫する現代。時には目をつむり、静かに耳を澄ませたい。