<金口木舌>官邸周辺の「空気」とは?


社会
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 首相官邸を望む国会記者会館では新聞社や放送局の記者が日々記事を送っている。ある時、記者クラブに所属していないフリーの記者が官邸前のデモを撮ろうと会館の屋上に侵入する

▼二兎社(にとしゃ)の舞台「ザ・空気ver.2」の一幕だ。昨年の「ザ・空気」ではテレビ現場の自主規制を主題にした永井愛さん。今年は、首相会見に指南書を送る大手メディアの政治部記者や記者クラブ制度など、実際にあった事例を取材し政治とメディアの関係を描いた
▼政権に対する姿勢では「忖度(そんたく)報道」など既存メディアへの不信が広がる。誰のために書いているのか、いつか来た道を再び歩んではいないか
▼海の向こうでは記者たちが政権を相手に闘っている。トランプ米大統領が、米国を目指す移民集団を巡ってやり合った記者を入庁禁止にした。記者の態度が理由だった。ホワイトハウス記者会は抗議した
▼翻って自分はどうだろう。沖縄関連で菅義偉官房長官に質問しても決まり切った政府答弁を繰り返すだけ。民意無視の指摘には「全く当たらない」と返される。突き崩せない自身の無力さを恨みたくなる
▼「ザ・空気2」では劇中のフリーの記者が「メディアを恨むな。メディアをつくれ」と言った。そういえば官房長官の会見で質問に詰まったところに在京記者が別の角度から追加質問をしていた。ここにも「紙ハブ」はいる。