<金口木舌>愛きょうある強さ


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 「私を目標にしないでほしい。そこまでの責任は取れない」「自分の犬に会いたい。私を覚えているといいんだけど」。ユーモアあふれるスピーチ

▼言葉の主は昨年9月、四大大会(グランドスラム)の一つ、全米オープンを制した大坂なおみ選手だ。発言は「なおみ節」として昨年の新語・流行語大賞の候補にもなった。もちろん圧倒的な強さが大坂選手の最大の魅力だ
▼今年も全豪オープンを勝ち進み、26日の決勝を迎えた。死闘を繰り広げた準決勝に大坂選手の成長を感じた。うまくいかないと涙を流すこともあり精神面での弱さを指摘されてきた
▼全豪オープンでもラケットを放り投げたが準決勝は違った。ミスをしても笑顔を浮かべたり、コートにラケットをたたきつけそうになるのをこらえたりする場面があった。感情を抑制し、冷静なプレーを心掛けようとしたのだろう
▼決勝も見事だった。第1セットを制し、臨んだ第2セット。優勝まで1ポイントに迫るも落としてしまう。精神的に弱ければ崩れてしまう可能性もあっただろう。だが、大坂選手は劣勢の流れを振り払い堂々としたプレーで快挙を成し遂げた
▼グランドスラム2連勝で日本人では初の世界ランキング1位。21歳。まだまだ成長する。四大大会で23回の優勝歴のあるあこがれのセリーナ・ウィリアムズ選手のように記録を重ねていくに違いない。