<金口木舌>キューバ危機の教訓


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 かつて核戦争が一歩手前まで迫った時があった。ソ連が1962年10月、南米キューバのミサイル基地建設を発表し、米国がその撤去を求めて艦船と航空機で海上封鎖した。いわゆるキューバ危機だ

▼その3年前に革命でできたカストロ政権はソ連をはじめ東側諸国とのつながりを強め、米国はキューバと国交を断絶した。その後、米国から支援を受けた亡命キューバ人がカストロ政権打倒に向けキューバに侵攻したが失敗に終わる
▼中南米は「米国の裏庭」と言われるように米国との関係で揺れ続けてきた。99年にベネズエラで反米のチャベス政権が発足して、ブラジルやアルゼンチンなどでも左派政権が林立し「反米大陸」とも呼ばれた
▼これまでも米国による介入が取りざたされてきたが、ここへきて新たな軍事介入の可能性が浮上している。政情不安が続くベネズエラへの軍事介入についてトランプ米大統領は「常に選択肢だ」と述べた
▼昨年の選挙でマドゥロ大統領が再選されたが、野党のグアイド国会議長が暫定大統領を宣言し、米、英、仏、独などが暫定大統領を認めた。双方の対立が続いている
▼キューバ危機は時の政治指導者たちの判断で危機が回避された。互いが自国の利益を追求するだけでは、あの判断はなかったかもしれない。半世紀以上たって、現代の政治家は果たしてどう対処するだろう。