<金口木舌>健康と地球のために


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 海外出張では、文字通りおいしい思いをすることがある。県系人社会の取材のため訪れたブラジルやアルゼンチンで驚いたのは、現地の食の豊かさ

▼ブラジルでは肉を串刺しにして焼いた「シュラスコ」や、肉と黒豆を煮込んだ「フェジョアーダ」を飽きるほど食べた。世界有数の牛肉の消費国アルゼンチンの鉄板焼きや炭火焼きのステーキはどれも絶品だった
▼肉の食べ過ぎは糖尿病などのリスクを高めるとの研究もある。タンパク質の過剰摂取は内臓への負担が大きく、健康に悪いと警鐘を鳴らす報告もあるが、適量なら丈夫な体をつくる貴重な栄養源。だが、健康面だけでない、肉にまつわる気になる報告が英医学誌ランセットで発表された
▼「21世紀の食の大変革」が提言するのは、肉を食べる量を少なくとも半分に減らすこと。現在の食品製造と消費のペースでは水の使用量や二酸化炭素の排出量などが増え続け、人類や他の生物の存在を脅かす恐れがあるという
▼食べる量や食料システムを見直すことで、気候変動を引き起こす温室効果ガスの排出量を抑え、世界中の人に十分な食料を提供できる農地を確保できる。報告書は「起こり得る生態系の破滅」を避けるため、と改革の遂行を求める
▼きょう2月9日は「肉の日」。美味な肉に感謝しつつ、健康と地球のため、日頃の食生活を見詰め直す機会にしてもいい。