<金口木舌>一票を投じよう


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 「沖縄の歴史にとってもきょうは画期的な日になると信じる」。1996年9月8日、「日米地位協定の見直しと基地の整理縮小」の賛否が問われた県民投票の日のコラムで本紙はこう書いた

▼その日はくしくも沖縄が法的に日本から切り離されることになるサンフランシスコ講和条約調印から、45年を迎えた日。「信じる」という言葉に強いメッセージが宿る
▼さて「画期的な日」以降の沖縄はどうか。23年を経て、再び県民投票が行われる。都道府県レベルの住民投票は沖縄県でしか行われていない。その事実は沖縄に基地負担が集中する状況が変わっていないこと、そこに反発する県民も多くいることを示す
▼当時との違いはネットが普及し誰でも情報を発信したり、議論したりできる環境が整ったことだ。だが、ネットで県民投票の議論は盛り上がらなかった。むしろ「意味がない」などと参加に消極的な発信が目立った
▼背景には政府が基地建設を進める姿勢を変えないこともあるだろう。だが県民投票を無駄だと判断するのは早計だ。一つのテーマで民意を明確に示す意義は大きい
▼県民投票への質問をツイッターで募集したところ、「中学生」だという投稿者から「なぜ素直に参加しようとしない人がいるのか」と素朴な疑問が寄せられた。もちろん参加は強制されない。だが、せっかくの権利をみすみす逃す手はない。