<金口木舌>学びは楽しい

 中学時代、教師から助言された勉強方法の一つが「友達に教えること」だった。自分自身が理解していないと難しい。理解が不十分なまま、教えることもあったが、伝えようと思考を巡らせる間に解答がひらめくこともあった

▼教えることは教わることだ。中学での経験を一冊の本を読んで思い出した。那覇市の珊瑚舎スコーレ夜間中学での理科の授業の様子を記録した「めんそーれ! 化学 おばあと学んだ理科授業」だ
▼沖縄大学の盛口満教授が2005年から11年まで教師を務めた際の経験をまとめた。生徒は戦中戦後の混乱で学校に行けなかったお年寄りたち。化学は学んでいないが、物が少ない戦後、代用品を工夫する中で自然と化学に触れてきた
▼ろうそくを燃やす実験では豚の脂を照明に使ったというような体験談が次々と飛び出す。授業に広がりが出て、課題だけではなくさまざまなことを学ぶ場になる。教師は化学に結び付けるように授業を運ぶ
▼「多くのことを、僕が生徒たちから教わった」。盛口さんは本でそう書いた。その場にいたいと思わせる、なんて理想的な学びの場だろう。知らないことを知るのは楽しい
▼現在、教育現場でそんな授業をする余裕はないかもしれない。補助するのは家庭ではないか。子どもたちの知りたいという思いに向き合い、学ぶことの楽しさを伝えられればいい。


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