<金口木舌>サンキューの日に誓うこと


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 「誰もが被害者にも加害者にもなる」。運転免許証の更新のために受講した講習で、担当教官が強調した言葉が胸に刺さった。まさに一瞬の気の緩みで、双方に深い傷を残すのが交通事故

▼「ドン」という音と女性の悲鳴に血の気が引いた。数カ月前、自宅前で息子が車にぶつかった。幸い、運転していた女性が安全運転をしていたため軽傷で済んだ
▼子どもから目を離したことを後悔した。事故処理に当たった警察官に「あなたなら事故を避けられたか」と問われた。突然歩行者が飛び出してきたら避けられる自信はない
▼県警によると、2018年に県内で発生した交通事故件数は4435件で、1日平均12件の事故が発生している。交通事故死者数は38人。統計を取り始めた1947年以降、過去2番目に少ないが、それでも平均して10日に1人、貴い命が失われていることになる
▼交通事故で保護者を亡くしたり、後遺障害を負ったりした児童・生徒を支援する県交通遺児育成会が発足したのが日本復帰前の71年。80年度の給付事業開始から延べ6947人に累計約4億5千万円が返済不要の奨学金などとして給付された
▼交通遺児への支援は大切だ。同時に、幸せを奪う交通事故は何としても減らさなければならない。3月9日は「感謝の日」。無事故で過ごせたことに感謝し、改めて安全運転を心に誓う。