<金口木舌>もてなしの温かみ


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 先週、このコラムで暖冬に触れ「半袖姿も目立つ」と書いたら、途端に寒が戻ってしまった。一度はしまった上着を出したり、車内でヒーターを使ったりした人もいるだろう

▼同訓異字を解説する「漢字の使い分けときあかし辞典」を開いてみた。さんずいの「温」は液体や固体など触ることのできるあたたかさ、日へんの「暖」は日差しなどの直接触ることのできないぬくもりに用いることが多い
▼「温厚」など性格に「温」を当てるのは、人柄は“触れて”感じるものだからと説く。7人制ラグビーのニュージーランドの読谷合宿は、村民と選手らの温かなやりとりが感じられるものだった
▼読谷村のもてなしには定評がある。国内トップリーグの合宿数は徐々に増え、ことし過去最多の7チームが予定する。将来のオールブラックス入りを狙うニュージーランドの選手は伝統の舞「ハカ」で歓迎に応えた
▼自らを鼓舞し、相手への敬意を表す意味があり、15人制では試合前に行う。7人制では優勝時など試合後に観客に向かって舞うことが多く、感謝のメッセージが強くうかがえる
▼約200年前、来琉した英艦隊のバジル・ホールは美しい自然や礼儀正しい人々を欧州で紹介し、琉球が注目された。沖縄で過ごしたアスリートたちによって、この地の「あたたかさ」がまた広まっていくだろう。読谷の取り組みに学びたい。