<金口木舌>オリンピアの芸術家

 童謡「赤とんぼ」をつくった作曲家の山田耕筰はオリンピック選手だった。音楽と両立させての快挙ではない。本職での参加だった

▼1912年のストックホルム以降、7度の五輪で「芸術競技」が実施された。絵画や文学などの種目があった。山田が出たのは36年ベルリン五輪の作曲。入選はならなかった。同じ大会の絵画で日本人が銅を取っている
▼2020年に東京で実施される空手が次のパリ五輪では行われない。「盛り上がりに水を差す」と関係者は残念がる。競技団体は存続を求め、会員制交流サイトで抗議するキャンペーンを始めた
▼沖縄発祥の空手が日本開催の五輪で初採用されるだけに、関係者が落胆するのは当然だ。ぜひとも継続してもらいたい。ただ、それほど落ち込む必要はないのではないか。芸術競技は1948年のロンドン五輪を最後に実施されていない
▼例えが極端かもしれないが、それで芸術文化が衰退したかというと、そうではないだろう。1900年のパリ五輪で一度きりだったクリケットは世界中に競技人口が広がっている
▼「先手なし」の神髄は平和を希求する沖縄の心にもつながる。道場で懸命に形を学ぶ子どもたちには守礼と平和の心が育まれていく。空手に表れる沖縄の心を東京五輪で発信できれば種目継続・復活への道も開けるだろう。五輪の開幕まであと493日。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス