日本年金機構世田谷年金事務所の葛西幸久所長が匿名でツイッターに人種差別的な投稿を繰り返し、更迭された。韓国人について「属国根性の卑怯(ひきょう)な民族」「在日一掃、新規入国拒否」などとつぶやいていた
▼韓国の金浦空港では、厚生労働省の武田康祐賃金課長が職員への暴行容疑で現地警察に現行犯逮捕された。「韓国人は嫌いだ」などと暴言を吐いている。こちらも更迭された
▼昨年の国連人種差別撤廃委員会対日審査で、各国の委員からこれらの事態を予見するような意見が出ていた。日本政府はヘイトスピーチ対策法の制定を「成果」と強調したが、委員らは罰則規定がないことを問題視する。「ヘイトスピーチを行った公人は罰せられ、可能であれば免職されるべきだ」などと述べていた
▼1923年の関東大震災で、流言飛語に踊らされた「自警団」などが多数の朝鮮人、中国人を虐殺した。しかし現在、日本の書店には嫌韓、嫌中本が並び、ネットでヘイトスピーチが飛び交う
▼公人によるヘイト発言は沖縄に対しても繰り返されてきた。沖縄2紙を「つぶさなあかん」と発言した人気作家、「土人」発言の機動隊員、その機動隊員を擁護した大阪府知事らだ
▼排外主義や人権軽視が放置されればヘイトスピーチがヘイトクライムに発展する。現在の日本社会が差別の温床となっていないか、検証が必要だ。