「あくびして ただそれだけで 怒られる」。本紙の市町村面で紹介された子ども川柳に笑みがこぼれた。当時小学5年生の女児が、豊見城市内で開かれた川柳教室でしたためた
▼わが子の細かい動作を気にする親の姿が目に浮かぶ。子どもは構ってほしくないと思っているのか。表現活動から、大人に対する本音が垣間見える
▼投稿欄に掲載された中学生の意見文に、はっとさせられたことがある。「自分で考えて動け」と大人に言われてやってみたら、失敗し怒られたという趣旨だ。この中学生は「自分で考えて動きたくなくなる」と落胆し、「失敗を見守るようにして」と訴える
▼子どもに失敗をさせたくないとの思いからつい先走って口を挟む。「転ばぬ先の杖」になるのが親心だとしても、子どもからすると迷惑な話だろう。親は子どもの教育や育ちに関しては過干渉になりがちだ
▼週明けには各地で始業式、入学式が行われる。新しい環境になじめるかという子どもの不安をよそに、親は勉強が気掛かりで、付いていけるのかとやきもきする季節でもある
▼数年前に取材した里親が話したことを思い出す。さまざまな困難を抱えた子どもたちを育てた経験から紡ぎ出された言葉だ。「おりこうさんに育てるのではなく、その子が幸せになるようなお手伝いをしましょうよ」。子どもにとっての幸せとは何かを考える。