<金口木舌>ねずみ講

 20年近く前、社会部で駆け出しの記者だった頃の話。人を集めて会員を募り、さらに会員を拡大すれば親会員にいくばくかお金が戻る―。沖縄本島中部で、そんな“おいしい話”を広める団体があった

▼話を聞きに行くと、ICチップの入ったカードでスーパーの買い物ができるシステムに会員を募っていた。当時は磁気カードが主流。1センチ角のチップに個人情報もお金も入って非接触で決済できるという
▼会員勧誘でなぜお金が戻るのか。何度聞き返しても仕組みが理解できない。ねずみ講ではないかと、うさんくささが募る。小さなチップで支払いをしたりお金を預けたりできるなんて聞いたことがなく、怪しさはいや増した
▼くだんの団体は摘発こそされなかったが、自然と消えた。あれから時がたち今ではICカードでの支払いは当たり前。スマホ利用でさらにキャッシュレス化が進む
▼大型連休中に訪れたグルメイベントでは会場内は全面キャッシュレスで現金は一切使用不可。電子マネー初体験の人が入り口で新たにカードを申し込み、おぼつかない様子で利用していた
▼キャッシュレス決済の割合が約2割と世界でも低水準の日本。外国人観光客の消費取り込みへ国を挙げたキャッシュレス化の波が押し寄せる。使ってみると確かに便利ではある。だが調子よく「ピッ」としていると、後で届く明細が怖