<金口木舌>将棋ブーム


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 かつてないほどの将棋ブームは最年少棋士藤井聡太七段(16)の活躍がもたらした。天才が集まる将棋界の中でも並外れた才能の持ち主だ。豊島将之・新名人ら多くのトップ棋士が手ごわい好敵手として一目も二目も置く

▼羽生善治九段が23日、故大山康晴15世名人に並ぶ歴代最多の公式戦通算1433勝を達成した。無冠になったとはいえ押しも押されもせぬ第一人者。これからもどんどん勝ち続けるのは間違いない
▼二人に共通するのは、先の先まで展開を読んで、他の棋士が気付かない手を繰り出すところだ。目の覚めるような妙手は芸術と言っていい。羽生九段の大逆転は「羽生マジック」と呼ばれる
▼インターネットの普及で、気軽に将棋の対局が見られるようになった。自分では指さなくても解説を聞きながら将棋を楽しむ。そんな「観(み)る将」が増えているという。プレーはしないが観戦が好きなスポーツファンのようなものだ
▼沖縄は将棋のプロ棋士を輩出していないが、県系の棋士はいる。母親が沖縄出身の佐々木勇気七段(24)だ。一昨年、藤井七段のデビュー以来の連勝を阻んだことでも知られる
▼2月に琉球新報社で指された王将戦で大盤解説を担当した。目標はタイトル獲得。本紙の取材に「日々の研究は欠かせない。実ったときはほっとする」と語った。沖縄ゆかりの棋士の躍進に期待が膨らむ。