<金口木舌>氷河期世代


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 大学を卒業してから10年以上、非正規の仕事を転々とする同級生がいる。幼い子どもがいる別の同級生はコンビニのアルバイトで生活費を稼いでいた。1歳下の後輩は正社員になったが、環境になじめず数年で辞めてしまった。「就職氷河期」の世代だ

▼氷河期世代は一般的に1993~2004年ごろに高校や大学を卒業した人を指す。現在は40歳前後で全国的に非正規雇用や無職の割合が多く、未婚者や親との同居も多いとされる。人生の先行きが見通せない人も多いはずだ
▼総務省が昨年発表した調査によると、働く人のうち非正規労働者は2133万人で過去最多。都道府県ごとの非正規の割合は沖縄が最も高い43・1%だった。派遣労働などで職場を転々とするのは働く人にとって負担が大きい
▼世代によって経済的な格差が広がれば国民の分断を招く。バブル崩壊のつけを背負った氷河期世代には、効果的な対策を打てなかった国への反発もある
▼政府は経済財政運営の指針に、就職氷河期世代のうち困難な状況にある約100万人向けの支援プログラムを盛り込んだ。この世代の正規雇用者を3年間で30万人増やすという
▼これまでも氷河期世代を支援する施策はあったが問題は未解決だ。社会的要因で辛酸(しんさん)をなめた人々に手を差し伸べるのは国の役割の一つだ。今回こそ抜本的な対策となることを願う。