<金口木舌>世界の扉開く気づき


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 八重山商工高の生徒たちが昨年からNPOと海岸の清掃に取り組んでいる。マーケティングリサーチ部に所属し、石垣の魅力を発信しようと商品開発や星空の美しさを伝える活動を続けてきた。清掃を始めたのは、星を眺めていたときに、海岸に散乱するごみに心を痛めたからだ

▼4月の清掃ではペットボトル203袋、発泡スチロールのブイ193個を含む大量のごみが集まった。大半のごみはラベルに外国語が記されていた。日本で捨てられたごみも海を渡る。海を漂うごみに国境はない
▼20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合で、海のプラスチックごみ対策の国際枠組み構築が合意された。各国が削減に自主的に取り組み、その内容を定期的に報告し合い、汚染を減らしていく
▼数値目標は盛り込まれず、実効性が課題だが、日本でもペットボトルのリサイクル強化やプラスチック製ストロー廃止の動きが広がっている
▼石垣島の自然に魅せられ移住する人は多い。ドイツ人のデザイナー、故ヨーガン・レールさんもその一人だ。天然染料を用いた衣服など自然と向き合う暮らしは創作に反映された。豊かな自然は人を呼び寄せ、文化を生み出す
▼八重山商工の生徒が新たに手掛けているのは、SNSでのごみを出さない呼び掛け。身近な気付きが、社会問題の解決を目指す国際的な活動へとつながっている。