<金口木舌>国権の最高機関、バリアーは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東京五輪まで1年となった24日、県産マンゴーを東京の知人に送った。店によると、五輪の交通規制実証実験のため到着が通常より2日遅れるという。五輪の足音が近づく

▼パラリンピックを前に国権の最高機関は足元のバリアフリーをどう進めるか。21日投開票の参院選で「れいわ新選組」から重い身体障がいがある船後靖彦さん(61)と木村英子さん(54)が当選した。1936年に完成した国会議事堂はバリアーだらけだ
▼与野党は25日、臨時国会前に本会議場の改修工事を進め、介助者の入場や押しボタンの代行などを認めた。障がい者政策に当事者の声が反映される。当たり前のことがようやく前進する
▼かつての旧優生保護法、らい予防法は人間の尊厳を奪い差別を助長した。優生思想の拡大に国会が加担した歴史を忘れてはならない。19人が殺害され、26人が重軽傷を負った相模原障がい者施設殺傷事件は26日で3年となった
▼24日にハンセン病家族訴訟の原告らと面談し、謝罪した安倍晋三首相は「差別・偏見の根絶へ全力を尽くす」と約束した。超党派の議員らも補償への法整備に前向きだ
▼発表された五輪メダルは渦のデザインで、世界中の人が手をつなぎ、多様性を示す。テーマは光と輝き。見過ごした影はないか。「人間の価値は生産性で計れない」。船後さんの言葉の重みはメダルの理念と同じだ。