<金口木舌>五輪がつむぐ新たな物語は


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 とある国の王女と新聞記者の出会いを描いた映画と言えば、すぐに題名を思い浮かべる方もいよう。映画「ローマの休日」は66年前のきょう、米国で公開された

▼今年は王女を演じたオードリー・ヘプバーンの生誕90年でもある。ヘプバーンと記者役のグレゴリー・ペックがたった一日だけ行動を共にしたローマから北に約300キロ。独立国家サンマリノがある
▼バチカン同様、イタリアの中のミニ国家。駐日大使が石垣島好きという縁から、石垣市と交流がある。石垣市は東京五輪・パラリンピックのホストタウンとして大会後に同国選手を招いて交流を深める
▼竹富町も同様に大使を通じた交流から同国のホストタウンに名乗りを上げた。サンマリノは国土のほとんどが山地や丘陵地という山頂の国。南の島の風土は、かの地の選手団の目にどう映るだろうか
▼沖縄市がニュージーランド、宮古島市がオーストラリア、八重瀬町がソロモン諸島のホストタウンや事前の合宿先となることで合意した。読谷村はニュージーランドのラグビー、那覇市はドイツの空手など8件の合宿を受け入れる
▼国籍の違いを超えて友情を培い、平和の実現に貢献するのが五輪の理念。選手団と各市町村の交流は一日だけのものではない。末永く続く交流から、また新たな人のつながりができ、語り継がれる物語も生まれてくるだろう。