<金口木舌>祖父母の愛情は元気の源


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 絵本「ばあばは、だいじょうぶ」の主人公のつばさは、小学校から帰ると、同居する祖母の部屋へ行く。楽しい出来事、悔しい体験を聞いてもらう。母親にしかられた日に向かうのも祖母の元。「だいじょうぶだよ」と言いながら、頭をなでてくれる祖母が大好きだ

▼つばさの元気の源は祖母に愛されているという安心感。そんな祖母に異変が起きたのは、飼い犬に餌を何度も与えるようになった日から。絵本は祖母と孫のつながりを軸に、老い、認知症、介護といったテーマを扱い反響を呼び、昨年映画になった
▼2001年放映のNHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」の主人公、古波蔵恵里の祖母役を好演したのは故平良とみさん。柔らかな笑顔に、ゆったりとした語り口。家族の危機に動じず恵里を励ます。精神的な支柱だった
▼上下関係になりやすく何かとぶつかりがちな親子関係と違い、祖父母と孫の関係は緩やかだ。祖父母の下で、安心できる体験を重ねた人は多いだろう
▼「孫育て 昭和の知惠も 遠くなり」。オリックスが募った「働くパパママ川柳」で、78歳の女性の作品が入賞した。“孫育て”に奮闘する姿が目に浮かぶ。共働き家庭の増加に伴い、子どもの世話をする高齢者が増えている
▼16日は「敬老の日」。たくさんの愛情を与えてくれた祖父母に伝えたい。感謝の気持ちを花束にして。