<金口木舌>ゆいレール、新たな旅路


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 「ゆいレールさん、しっかりしてよ」。県脊髄損傷者協会理事長の仲根建作さん(62)が15日、会員制交流サイトに書いた。車いすを使って首里駅で乗り、おもろまち駅で降りる予定だった

▼対応する駅員が待ち構えていると思いきや誰もいない。終点の那覇空港駅まで乗る羽目に。運転士に事情を話した後、再び乗車して目指したが、2回目も同じ。ついには出発点の首里駅に戻り3回目でようやく下車できた
▼この日、駅員らは「忙しくて対応できなかった」「申し送りがなかった」と答え、後日駅長が直接わびた。仲根さんは「人的ミスだが、できる限り再発防止に努めてほしい」と訴える
▼あす沖縄都市モノレールの浦添延長区間が開業する。首里駅と新たな4駅では車いす利用者が1人で乗れるスロープが整備された。仲根さんもこれを利用し、全駅の首里駅並みを求めている
▼那覇市の7歳の少年はゆいレールの職員に憧れ、ファンクラブに入る。本紙24日付1面に「ゆいレール博士 夢は続くよ」の見出しで紹介している。「名護、石垣島まで延びてほしい」。少年の言葉は県民の願いでもある
▼仲根さんは「ゆいレールは全国でもバリアフリーの対応は進んでいる」と評価し、エールも送る。利用者とともに山や谷、課題を越えていく。まちとまち、思いと思いをつなぐ。ゆいレールの新たな旅路が始まる。