<社説>コロナ収束せず 臨時国会召集し論議を

 新型コロナウイルス感染症が収束せず、再拡大している。国民は感染の不安と向き合いながら生活している。その中で政治の不在は深刻だ。

 安倍晋三首相による国会答弁が1カ月以上行われていない。感染を抑え込みながら、経済活動を維持していけるのか。まさに正念場のはずだ。
 いま、政権に求められるのは、あらゆる政策を総動員することだろう。そのためには「唯一の立法機関」である国会で課題を真摯(しんし)に議論することである。
 しかし、通常国会は6月17日に閉会し、衆参両院で週1回の閉会中審査を開くだけだ。首相は一度も出席してない。官邸の出入りの際に記者の質問に短く答えるだけで、記者会見にも応じていない。危機的な状況で国のトップリーダーの顔が見えない。国民の不安に応えるためにも、早急に国会を召集すべきだ。
 憲法53条に基づき臨時国会の召集権を持つ内閣が臨時国会に消極的なのは観光支援事業「Go To トラベル」の混乱や、再配布しようとしたアベノマスクなどに論戦が集中するのを嫌がっているからだろうか。しかし未知の感染症に対処するためには、関連法に問題があればすぐに改正し、新たな法整備が必要なら立法できる体制を整えなければならない。
 改正すべき法律があることは政府自体が認めている。菅義偉官房長官も新型コロナ特別措置法についてテレビ番組で「休業要請と補償措置をセットで実施すべきだ」などと述べ、法改正が必要だと明言した。
 国と地方自治体との役割分担があいまいなことも課題だ。都道府県知事による休業要請では国による補償的な措置がない。沖縄県が那覇空港で行っている発熱者の検知も強制力がないため、発熱者が再検査をすり抜けた例があった。これら課題を克服する必要がある。
 全国知事会は、在日米軍基地での感染情報を政府の責任で収集し公表することなどを求めている。在韓米軍は感染判明の経緯や隔離情報などを積極的に公開している。なぜ日本ではできないか。国会の大きな論点になろう。
 Go Toに関連する約1・7兆円の事業費の運用見直しも論議してほしい。自治体の裁量を増やし、予算の一部を自治体や事業者の直接支援、休業補償に振り向けるようにすべきだ。
 3年前、野党が要求した臨時国会の召集を安倍政権は3カ月以上放置した。ようやく召集された冒頭で衆院が解散され、審議のないまま閉会した。那覇地裁は今年6月、召集しなかった点の違法性については判断を避けたが、召集は「憲法上の義務がある」とした。同じ対応は許されない。
 コロナ禍を収束させるために、速やかに臨時国会を開き、議論を通じて国民への説明を尽くし、対策を講じるべきだ。



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