<社説>米基地ドローン禁止 知る権利を侵害するな

 防衛省は、在日米軍施設上空で小型無人機ドローンの飛行を原則禁止した。

 ドローンによる空撮ができなくなれば、基地内で発生した出来事について取材・報道の自由が制限され、米軍発表の検証が困難になる。
 テロ防止の名の下に、憲法上の権利である表現の自由が大きく制約され、国民の知る権利を損なう今回の決定は断じて認められない。
 ドローン規制法は昨年の改正で、飛行禁止区域の対象に米軍や自衛隊の「防衛関係施設」が追加された。改正に基づき今回、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、キャンプ瑞慶覧、嘉手納基地、普天間飛行場の県内5施設を含む15カ所を対象とした。
 対象の敷地・区域とその周辺300メートルの上空で飛行が禁止される。飛行には基地司令官など施設管理者の同意が必要になる。
 なぜ報道機関のドローンまで一律に規制するのか。防衛省は、報道の自由との関係を含め適切に同意の可否を判断するよう米側に求めたというが、その保証はどこにもない。
 そもそも、米太平洋軍司令官が、米軍専用施設上空のドローン使用禁止を日本に求めてきたのである。日本側は法改正によって、米軍基地を追加した。国民の知る権利よりも米軍の都合を優先させていると言えよう。
 米海兵隊太平洋基地(MCIPAC)は昨年、本紙の取材に対し、取材目的を含めた在沖海兵隊の施設・区域でのドローンの飛行について「施設や周辺住民に危険が及ぶ恐れがある」として、原則許可しない考えを示している。
 名護市辺野古の新基地建設が進むキャンプ・シュワブは、ドローン飛行禁止の対象範囲に陸地部分のみならず水域も含まれた。シュワブ沖合で工事の様子を確認するため、報道機関や市民団体がドローンを飛行させている。
 今回の指定でこうした活動が制限されると、工事の進ちょく状況が分からなくなり、国民の知る権利が侵害される恐れがある。
 問題点は他にもある。防衛省は今後、段階的に米軍基地や自衛隊施設の規制対象を拡大する意向である。
 米軍側は米軍専用施設上空の飛行を禁止するよう求めているため、国土面積の0・6%に米軍の専用施設の7割が集中する沖縄で、ドローンの飛行が全面禁止される可能性すらある。
 自衛隊配備が進む宮古、八重山の駐屯地の撮影も禁止されるかもしれない。
 米軍機など民間地で発生した事故で、現状でも現場が大きく規制されている。今後は、上空からの取材が制限されることも予想される。
 国民の知る権利に応える報道は高い公共性を有し、憲法によって保障されているはずだ。防衛省は、取材・報道目的のドローン飛行を明確に認め、規制法そのものを改正すべきだ。



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