<社説>秋元議員再逮捕 IR事業見直すべきだ

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、裁判を控えた国会議員が不正工作を働いた疑いで再び逮捕されるという前代未聞の事態が起きた。

 IR事業への参入を目指す中国企業「500ドットコム」側から賄賂を受け取ったとして、2019年12月に収賄容疑で逮捕された秋元司衆院議員が、保釈後の今年6、7月、すでに贈賄罪で起訴された中国企業の元顧問に、裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬3千万円の提供を申し込んだ疑いがあるとされる。
 事実であれば司法手続きをねじ曲げる悪質な行為で、国民に対する裏切りだ。保釈中の国会議員が再逮捕されるというのも極めて異例だ。直ちに議員辞職すべきだ。
 安倍政権はIR事業を「観光立国」の目玉と位置付けていた。しかし新型コロナ禍で観光立国そのものが揺らいでいる。ギャンブル依存症や治安の悪化に対する懸念も払拭(ふっしょく)されていない。安倍晋三首相は一日も早く国会を開いて汚職の温床となったIR事業を見直すべきだ。
 国際観光産業振興議員連盟(IR議連)に所属していた秋元容疑者は、17~18年にIR事業を担当する内閣府副大臣を務め、日本でのIR事業推進を積極的に発信していた。17年8月に500ドットコムが主催して那覇市内で開いたシンポジウムでは基調講演し、「米軍基地返還後の土地をIRで開発すると、地元経済を考えても高いポテンシャルを持っている」と提起している。
 議員会館での現金提供や、北海道留寿都村への旅費提供など約760万円相当の賄賂の授受があったとして収賄容疑で逮捕されたが、秋元容疑者は一貫して無罪を主張し、今年2月に保釈された後は議員活動を再開していた。
 IR整備法はカジノ営業を免許制とし、事業者に対し利用客への金銭貸し付けも認めている。運営企業に選ばれれば巨大な利益が見込まれ、米国、中国などの海外企業は、未開拓市場である日本に早くから熱い視線を注いできた。そうした企業が事業推進に関わる政治家に近づくことは容易に予想された。
 海外のカジノ事業者が主催するシンポジウムで基調講演を行い、事業者を後押しするかのような印象を与えた秋元容疑者がIR事業を担当する副大臣にふさわしかっただろうか。
 秋元容疑者は逮捕を機に自民党を離党したものの、党二階派には特別会員として名を連ね、二階派の会合に参加していた。派閥の代表の二階俊博幹事長の責任も大きい。何より副大臣に任命した安倍首相の責任も厳しく問われる。
 無罪を主張しながら証人買収を図ったのであれば、公正な裁判の妨害だ。秋元容疑者本人がどこまで関与していたか、3千万円はどこから出たか、IR汚職事件の全容と共に徹底解明する必要がある。



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