<社説>菅新政権の経済政策 豊かさ実感できる改革を

 日本経済をどう立て直し、活性化させるか。菅新政権の経済政策が問われている。

 菅義偉首相は「安倍政権の経済政策は私が引き継ぐ」と明言し、路線継承を掲げている。しかし、これまで示した具体的な政策は地方銀行の再編など個別分野にとどまり、「スガノミクス」の全体像はまだ見えていない。
 新型コロナウイルスで日本経済が大打撃を受けている中、有効な追加の経済対策にも注目が集まる。だが当面は観光支援事業「GoToトラベル」など既存施策の継続が中心となりそうだ。
 アベノミクスは大企業や富裕層を優遇する一方、多くの国民が景気回復を実感できないと批判された。この路線を踏襲せず、国民が豊かさを実感できる経済政策に転換すべきだ。
 共同通信による自民党総裁選前の世論調査では、次期首相が「アベノミクス」を継承するべきかについて58.9%が「見直すべきだ」と答え「継承すべきだ」の33.3%を大きく上回った。国民の多くは継承を支持していない。
 アベノミクスは金融緩和、財政出動、規制改革などによる成長戦略を「3本の矢」として掲げた。どれも大企業がもうけやすくすることに主眼が置かれ、中小・零細企業や一般庶民は潤っていない。アベノミクスの「最大の成果」とされる「雇用の改善」も不安定な非正規雇用を増やす結果となった。菅政権はその失敗から学ぶ必要がある。
 2%の物価目標など未達成の目標も目立つ。目標の形骸化は実態を見失い、政策判断を間違えるなど弊害をもたらす。この際、コロナ禍も考慮し、非現実的な目標は見直すべきだ。
 菅氏は経済政策の目玉として中小企業基本法の改正を挙げる。法改正で中小企業の定義を見直し、予算や財政面の支援だけでなく経営強化にも本腰を入れる構えだ。地銀の再編や携帯料金引き下げにも取り組む。こうした個別の施策だけでなく全体的な戦略ビジョンを示さなければ、日本経済の将来は展望できない。
 喫緊の課題は新型コロナへの対応だ。資金が必要な所へ迅速かつ効果的な支援が求められている。
 国の成長力の実力は「潜在成長率」を目安とする。モノやサービスに必要な生産要素を最大限に活用できた場合の国内総生産(GDP)の伸び率だ。日本は1%未満の低水準にとどまるため、国民に景気回復の実感が乏しいと指摘されている。金融緩和や財政出動で一時的に景気を押し上げても潜在成長率は引き上げられない。
 アベノミクスは潜在成長力を引き上げる構造改革が欠けていた。それを踏まえ、ITや環境分野で新産業を創造するなど成長を促す改革をすべきだ。コロナの影響で人々の消費行動や産業構造は変わりつつある。それも見込んだ成長戦略が求められている。



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