<社説>杉田衆院議員の発言 議員辞職に値する暴言だ

 自民党の杉田水脈衆院議員は25日、性暴力被害者の相談事業に関する説明を政府から受けた際「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した。会議後、記者団に発言を否定したが、複数の会議出席者が発言を認めた。

 その発言が波紋を広げている。性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」の主催者らは、杉田氏に謝罪と議員辞職を求める署名活動を始め、既に2万人超を集めたという。性暴力は訴えにくく、相談しても信じてもらえず傷つく人もいる。そんな苦しむ被害者を孤立させるとの危機感がある。
 政治家には、社会の模範となる発言や行動が期待される。ましてや杉田氏は国のかじ取りを任された政権政党の衆院議員だ。国民の期待を裏切る今回の発言は国会議員の資質を著しく欠くもので、議員辞職に値する暴言だ。
 杉田氏は今年1月にも衆院本会議で、夫婦別姓を選べず悩みを抱える男女の事例を野党議員が紹介した際に「だったら結婚しなくていい」とやじを飛ばしたとして批判された。また、性暴力被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんを誹謗(ひぼう)中傷するツイッターに賛同を示す「いいね」を押し名誉を傷付けられたとして、伊藤さんに損害賠償を求められる訴えを起こされた。
 その伊藤さんは今月、米誌タイムによる「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれた。性被害を告発する「#MeToo」運動に日本の女性たちも加わることを後押しし「フラワーデモ」にも火を付けたと評価された。
 タイム誌で伊藤さんを紹介した上野千鶴子東京大名誉教授(社会学)は「性暴力に対する勇気ある告発で日本人女性の在り方を大きく変えた」と評した。伊藤さんは「『隠さなくていい、恥じるべきではない、ここにいていいんだ、この道を堂々と歩いていいだよ』と言ってもらえた」とコメントした。
 内閣府の調査では、無理やり性交された経験があるのは男女約20人に1人で、うち56・1%が誰にも相談していなかった。「女性はうそをつく」という偏見は「レイプ神話」と呼ばれ、被害者救済を困難にするため世界的に問題視されている。
 杉田氏の発言は、被害者救済を強化する政府方針とも逆行する。政府は6月に性暴力対策強化方針を初めてまとめた。10月までに全国共通短縮ダイヤルを導入するほか、「ワンストップ支援センター」も増設する。いずれも性暴力の被害者が相談しやすくし、迅速な支援を目的とする。
 しかし被害者が訴えなければ元も子もない。杉田氏の発言は訴える勇気をそぎ、声を上げられない被害者の苦しみを一層深めたとも言える。
 政府・自民党は発言を看過すべきではない。事実確認など責任ある対応をせず、うやむやにして幕引きを図るのなら、性被害を軽く見ていると受け止められても仕方ない。



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