<社説>全国知事会提言 国の責任で課題解消せよ

 各都道府県知事の判断は、それぞれの地域が抱える課題を明確に反映する。5日に全国知事会が決議した提言は、まさに現在の日本が抱える問題を示したものだ。

 知事会提言は、米軍機の訓練に対して「人口密集地域等の上空の飛行回避」などを求めた。別の提言では新たな過疎法の制定に向け「地域の状況を的確に反映」し「持続可能な地域社会の実現」を訴えている。
 提言という形ではあるが、二つの課題は国が地方への回答を示すべき性質のものだ。「仕事師内閣」を掲げる菅政権であれば、国民の不安を解消すべく早急に解決策を示してもらいたい。
 基地負担に関する全国知事会の提言は2018年7月に次いで2度目となる。
 飛行回避以外で加わったのは(1)訓練や事故発生時に地元自治体への詳細かつ速やかな詳細情報提供(2)米軍機飛行で高度や騒音に国内法を原則適用すること―が主な柱だ。
 背景にあるのは国内での米軍機による訓練増加だ。
 沖縄に次いで18年に米空軍横田基地(東京都)にオスプレイが配備された。同年には空母艦載機約60機が厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)へ移駐した。
 その後どうなったか。機体の安全性に幾つもの疑問が寄せられるオスプレイが首都圏上空を日常的に飛ぶようになった。岩国から紀伊半島への米軍飛行訓練ルートに当たる徳島、高知、愛媛の四国3県ではオスプレイを含む米軍機とみられる低空飛行の目撃情報が各地で急増している。
 一方で防衛省は10月末、神奈川県に対し、オスプレイの飛来情報を今後提供しないと説明したという。
 沖縄に住む者なら知っているだろう。日米政府が約束した高度や飛行時間などの制限無視が日常的にあり、事故発生時には権限なき米軍により現場が封鎖される。なおかつ「運用上、安全上」を理由に情報は開示しない。
 同様の事態はいずれ他の地域でも起きるだろう。悪い意味での「沖縄化」が全国で進もうとしているのだ。
 問題の根は米軍に優越的地位を与える日米地位協定にある。全国の知事が示す不安をなくすためにも、政府が抜本的改定を求める必要がある。
 一方で過疎地域の自治体存続に関わる新法制定も待ったなしの課題だ。21年度から始まる見込みの新法では、県内の対象18市町村のうち過半数が対象外とみられている。
 離島県の沖縄では、医療や教育など島の中で完結しなければならない住民サービス提供には、過疎法に基づく財政措置を必要としている。
 知事会提言にある通り、過疎地域は「国土・自然環境の保全」に重要な役割を担う。対象を選別するのでなく、積極的に守ることが国全体の強靱(きょうじん)化にもつながる。地方の声を反映した新法を制定するよう政府に期待したい。


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