<社説>「赤木ファイル」 改ざん指示 全容解明を

 森友学園の国有地売却問題を巡る財務省の決裁文書改ざんの過程をまとめた「赤木ファイル」が開示された。

 財務省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官から直接、改ざん指示があったことがうかがえるメールが含まれていた。ただ佐川氏はなぜ部下に改ざんを指示したのか、核心部分は不明だ。
 今後司法の場で真相を究明してもらいたい。同時に国会に佐川氏らを招致して全容の解明を求める。
 「赤木ファイル」は、決裁文書改ざんに加担させられ命を絶った近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが経緯をまとめた文書。遺族の求めから1年たって財務省が開示した。
 財務省の調査報告書では佐川氏の役割について「改ざんの方向性を決定づけた」といった記述にとどまり、明確に指示したとまでは踏み込んでいない。
 森友問題を巡り、国会で安倍晋三前首相の妻昭恵氏の関与が取りざたされた。安倍前首相は国会で森友問題に自分や妻が関係していた場合は「首相も国会議員も辞める」と答弁していた。
 ファイルには首相答弁から9日後に「削除した方が良いと思われる箇所があります」「当該箇所をマーキングしておきました」と指示され昭恵氏らの名前を削除したことが記されている。「佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示」とも記載されている。
 安倍氏の国会答弁と佐川氏の改ざん指示は関連しているのか。ぜひ解明されなければならない。だが麻生太郎財務相は再調査を改めて否定した。改ざんの指示に抵抗した職員を自死に追い込んだにもかかわらず、不誠実な対応だ。
 財務省はファイルについて、赤木さんが個人的に作成したもので職務上の行政文書ではないと説明していた。だが、ファイルに記載された改ざん指示は具体的で「理財局が全責任を負う」との記述や、赤木さんが改ざんの指示に「強く抗議した」とのメールもある。まさに財務省が組織的に改ざんを進めた証拠だ。
 公文書管理法が定義する公文書に行政文書がある。行政文書とは「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」(第2条4項)だ。赤木ファイルは「職務上作成」された行政文書に他ならない。
 公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法)である。財務省は決済済みの公文書を改ざんした上、不都合な事実を記した赤木ファイルを「個人文書」扱いにして隠蔽(いんぺい)していた。ようやく公開した文書は400カ所黒塗りした。国民への背信行為だ。
 森友学園を巡る国有地の巨額値引きや公文書改ざんに政治家の関与や官僚の忖度(そんたく)があったのか。赤木さんは「これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる」と遺書につづった。森友問題をこのまま終わらせてはならない。



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