<社説>IPCC報告書 温室ガス大幅削減急げ

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が2040年までに1.5度を超える可能性が高いとする報告書を公表し、早期の対策を促した。従来の分析から10年ほど早まった。

 気温上昇が1.5度を超えて2度になると、人間が住むほとんどの地域で極端な高温が増え、一部の地域で干ばつの確率が上昇するとされる。
 1.5度を超えないためには温室効果ガスの排出を大幅に抑えることが急務だ。温暖化防止への取り組みに本腰を入れ、持続可能な経済活動への方針転換を加速させなければならない。
 報告書は、世界の平均気温は11~20年で1.09度上昇していると指摘。社会経済成長を五つのタイプに分けて将来を予測すると、化石燃料に頼った開発が続く最も排出が多いシナリオでは、気温が21~40年に1.3~1.9度、今世紀末には3.3~5.7度それぞれ上昇するとした。
 そして科学的根拠によって温暖化の原因が人間活動にあることは「疑う余地がない」と断言する。温暖化の進行によって極端な高温や大雨が増え、今後、未曽有の災害が発生する恐れがある。
 今月に入り、二つの台風が同時に日本列島を襲い、先週からは豪雨が広範囲に打ち付ける。欧米では熱波と山火事が深刻だ。現実に起きている異常気象と災害が、そう遠くない未来の姿と重なる。防災対策の練り直しが急務だ。
 気候変動による干ばつは、世界の食料生産量の低下につながる。1998~2017年の間に干ばつの影響による経済的な損失は少なくとも1240億ドルに達し、国連防災機関は「干ばつは次のパンデミックになりつつある」と指摘する。食料を海外に依存する日本への影響は必至だ。
 世界の平均海面水位は直近の約120年間に0.2メートル上昇した。今世紀末には最大0.63~1.02メートル上昇する可能性がある。海に囲まれた沖縄、日本に深刻な事態を招く。
 日本を含め世界各国は15年、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す「パリ協定」を採択した。人為的な二酸化炭素の排出量を30年に10年比で約45%削減し、50年には実質ゼロにする必要がある。
 日本政府は「脱炭素社会」実現に向け高効率の太陽光発電や水素の活用など重点領域5分野を定め、革新的技術を確立する方針を打ち出した。
 パリ協定の目標達成のために各国はあらためて認識を共有し、再生可能エネルギーを柱とする経済変革に向かって協力することが肝心だ。
 6月にはスイスや日本など世界の大企業のトップでつくる連合体が、30年までの温室効果ガス排出量の半減や石炭火力の全廃など、地球温暖化対策の強化を各国に求める声明を発表した。この動きを加速してもらいたい。



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