<社説>那覇軍港訓練の強行 基地使用条件の厳格化を

 米海兵隊が那覇港湾施設(那覇軍港)で輸送機のオスプレイや大型ヘリコプターなどを用いる訓練を実施している。県や那覇市が中止を要請したが、無視して強行した。

 運搬を目的とする米軍機の飛来が昨年あり、批判が巻き起こったが、今回は訓練のための使用だ。度を超えた運用がエスカレートしている。米軍による基地の使用条件を定めた「5・15メモ」を見直す必要がある。日米地位協定の抜本改定にも着手すべきだ。
 まずは、訓練の即時中止を求める。那覇市の城間幹子市長は軍港が多くの民間機が発着する那覇空港に近接していることにも触れ、「県民をはじめ観光客などの安全性を脅かすもので到底容認できない」と批判した。軍港には主要幹線の国道58号が隣接してもいる。当然の求めだ。
 那覇軍港には2021年11月、普天間飛行場所属のオスプレイなどが飛来した。本国での整備が必要な機体を船積みするためだったとされる。整備を必要とする機体であるにもかかわらず、民間地を挟んだ基地間で飛行させる米軍の感覚である。
 在沖米軍施設の使用条件などを定めた「5・15メモ」は那覇軍港の使用主目的は「港湾施設と貯油所」と記している。県はこれを根拠に昨年11月のオスプレイなどの軍港飛来について「目的外使用」として抗議してきた。
 これに対して防衛局はメモは主目的を定めているにすぎず、「航空機の着陸を排除していない」と正当化した。今回も同様の対応だ。沖縄防衛局の小野功雄局長は「訓練中止を申し入れることは難しい」と容認した。
 5・15メモが主目的を記すにすぎないとするのであれば、政府は県民が影響を受ける使用目的の具体的な合意事項を開示しなければならない。本来、基地の使用条件は時々の都合で意図的に解釈されてはならないはずである。
 そもそも、5・15メモは日本復帰時に沖縄の頭越しに日米で合意された。当時は非公表とされた。沖縄の要望はくみ取られていない。
 締結から50年がたち、現在の運用に対応していない部分があることも想定される。米軍の都合による運用の積み重ねもあり、実質的に形骸化している部分もあるだろう。そうであるならば、使用条件こそ見直し、より厳格な運用を順守させるべき時だ。
 さらには日米地位協定の問題がある。米軍基地間の移動を無制限に認めているからだ。空の自由使用を含めて米軍に優越的地位を与えている協定を改定しなければならない。国内法が適用されない特権を米軍に与えている協定は、感染症対策の観点からも問題であることがはっきりしている。
 現行協定は国民の命までをも危険にさらすものであると言わざるを得ない。政府は対米従属の姿勢を改め、協定の抜本的改定を主張すべきだ。



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