<社説>自民会合差別的文書 政教分離の徹底を求める

 6月に開かれた自民党国会議員の会合で、性的少数者への差別を助長しかねない文書が配布されていた。見過ごせないのは、文書が配布された会合が、神社本庁が母体の政治団体「神道政治連盟」の国会議員懇談会だったことだ。

 宗教と政治が結び付けば、民主社会の根幹である多様な価値観が排され、特定の価値観が国民に押し付けられる可能性がある。戦前の日本がまさにそうだった。自民党は今回の差別的文書に対する見解を示した上で、憲法が定める政教分離が徹底できているのか国民に説明すべきだ。
 文書は、同性愛を「精神の障害、または依存症」と事実誤認した上で「性的少数者の性的ライフスタイルが正当化されるべきでない」と記した。
 性的指向や家族の在り方に多様性を認めるのは世界の潮流だ。2011年と14年には国連人権理事会で、日本も賛成して「人権、性的指向および性自認」決議が採択され、初めて性的指向を人権課題と位置付けた。国連自由権規約委員会は14年には日本政府に「法律による差別禁止」などを実現するよう指摘した。
 県内でも那覇市、浦添市、県が性の多様性を尊重する、いわゆる「レインボー宣言」を発し、法律婚と同等の権利保障を実現している。
 世界的に性的少数者の権利を尊重する流れが定着する中で、会合で配布された資料の内容は時代に逆行している。
 神道政治連盟はホームページで憲法改定、靖国神社参拝の国家儀礼化などを主張する。刊行した資料では選択的夫婦別姓にも反対している。
 信教、表現の自由の観点からすれば、連盟の主張を否定するものではない。ただ政治はその主張にどのような距離をもって接しているのか。
 連盟は懇談会会員である衆参の議員263人(22年6月27日現在)を選挙などで支援する。21年に発足した当時の岸田内閣の閣僚21人のうち、岸田文雄首相を筆頭に閣僚17人が懇談会会員として名簿に記載されている。安倍晋三元首相や茂木敏光幹事長、高市早苗政調会長ら党重鎮もいる。LGBT「生産性」発言で物議を醸した杉田水脈氏もメンバーに入っている。
 00年に森喜朗首相(当時)が「神の国」発言をして、問題となったのも同懇談会会合だった。懇談会会員として連盟と「問題意識を共有する」(連盟ホームページ)国会議員が沈黙を続けるのであれば、連盟の主張を是認していると国民は受け止めるだろう。
 自民は21年の総選挙で政策原案にあった選択的夫婦別姓の検討に関する一文を削除。参院選公約でも、各党が夫婦別姓実現や性的少数者の差別解消に触れる一方、自民は賃金格差是正など女性の経済問題を重点とし、別姓の是非、差別解消は触れていない。
 有力な支援団体であっても差別を助長する文書は撤回させるなど、自民は決然とした態度を示してもらいたい。



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