<社説>学校土壌にPFAS 排出源の調査に踏み込め

 米軍普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校内の土壌から、米国の基準を上回る有機フッ素化合物(PFAS)が検出された。調査は住民団体が専門機関に依頼し、実施した。米軍に基地を提供している日本政府の責任で至急、再調査を実施すべきだ。

 子どもたちの身近に有害物質が存在するという住民の不安の解消を急がなければならない。行政による調査の上で土壌の入れ替えなど必要な措置をとるのはもちろんのこと、排出源となる米軍基地内の調査に踏み込むなど厳格な環境保全措置が必要だ。
 普天間飛行場から基地外に通じる水路があり、普天間第二小付近まで伸びている。「宜野湾ちゅら水会」によると今回調査した3カ所の土壌のうち、値が最も高かった箇所は、PFASの一種であるPFOSについて土壌1キログラム当たり1100ナノグラムが検出された。米国環境保護庁(EPA)が示している基準値の約29倍の値となる。
 PFASの環境基準について、日本は水質の暫定指針値を設けているが土壌の基準値はない。京都大の原田浩二准教授は「米国なら健康被害防止のための詳細な調査を行わなければいけない値だ。地下水を汚染し続ける土壌の対策が不可欠だ」と指摘する。
 土壌に存在するPFASが米軍基地由来とみられる以上、流出の経路や汚染状況の確認のため基地内での調査が不可欠だ。だが米軍に排他的管理権を認めた日米地位協定が調査の壁となっている。
 北谷浄水場の水源の一つである河川からPFASが検出されている問題でも、県は汚染源特定のため米軍嘉手納基地への立ち入り調査を求めているものの、米側は拒否を続け、実現したことはない。
 普天間飛行場では2021年8月に、米軍が地元の反対を押し切って公共下水道にPFAS汚染水を排出する事態が起きた。国内ではPFASを含む泡消火剤は廃棄物処理法に基づき焼却処理することになっている。海兵隊は焼却処分には費用と時間がかかるとして、日本側との合意が一
切ない状況で排出を強行した。
 日米地位協定には環境補足協定がある。だが、日本側が基地内への立ち入りを申請できるのは事故が発生した場合に限定される。しかも米軍の運用を妨げないなど米側が判断した場合に限られる。地位協定の運用改善の一環である環境補足協定では不十分なのは明らかだ。
 法曹の専門家である日本弁護士連合会は7日に「日米地位協定の改定とこれを運用する制度の改善を求める意見書」を発表した。PFAS問題で基地内への立ち入り調査が認められていない現状などを受け、米軍への国内環境法令の適用も求めている。
 日米地位協定の改定は全国知事会も提言してきた。住民の暮らしや安全を守るため、米軍に国内法令を適用させる地位協定の改定が必要だ。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス