<社説>沖縄に離島即応部隊 負担軽減の道理に反する

 米政府が在沖米海兵隊を改編し、離島有事に即応する「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設する方針だ。基地負担軽減の道理に反し、到底容認できない。

 沖縄の負担軽減の名目で、海兵隊約9千人のグアムやハワイへの移転で日米が合意している。訓練についても国内の演習場への分散移転が進められてきた。
 「台湾有事」を見据えて対処戦術を特化した部隊を創設するのは、機能強化にほかならない。負担軽減どころか強化一辺倒であり、県民を不安に陥れるものだ。
 沖縄に置くMLRは、ハワイの部隊と同程度の2千人前後の規模とされる。このため、約1万人の海兵隊員を沖縄に残す米軍再編計画に変更はないとの見立てがある。数字のまやかしではないのか。
 仮に人員の帳尻を合わせたとして、離島侵攻を想定した戦術を展開する部隊を置くことは機能の強化ではあっても軽減とは言えない。
 南西諸島周辺の緊張の高まりを理由とした配備強化は自衛隊も同様だ。那覇市の陸自第15旅団は師団へと格上げされる。安保関連文書への敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有明記に伴い、長射程ミサイルの県内配備も想定される。
 陸上自衛隊は離島防衛専門部隊「水陸機動団」を創設した。自衛隊と米軍の一体化によって訓練も激しくなり、離島奪還を想定した共同訓練も県内で実施されている。
 これらの軍備強化は中国の離島侵攻を想定している。南西諸島への配備強化の動きは、中国をより刺激することにしかならない。
 有識者からは軍事的な衝突の回避に向けた提言が相次いでいる。その多くが抑止力強化偏重の安全保障戦略を疑問視し、軍事力によらない新たな秩序やシステムの構築で地域の安定の実現を提唱するものだ。こうした知見こそ平和国家たる日本が追求すべき方向性である。
 沖縄へのMLR創設は、11日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で確認する見通しだという。既に日米外務・防衛当局者の間では確認済みということだ。
 国民への説明抜きに、まずは米国と協議して推し進める姿勢は日本の安全保障政策に一貫している。在沖基地の整理縮小をうたったのは日米特別行動委員会(SACO)合意である。その本質が負担軽減ではなく、県内移設による機能強化にあることは、普天間飛行場や那覇軍港の返還条件で示されてきた計画などからも明らかだ。
 「台湾有事」の危機感の高まりに乗じて事を進める政府の姿勢は、もはやあからさまに南西諸島の軍事拠点化を一気に進めているようにしか見えない。
 沖縄の負担軽減名目で訓練移転を受け入れてきた全国の自治体への説明もないままだ。国会の場を含め、全国民に説明する必要がある。




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