<社説>新聞週間始まる 平和築く報道に徹する


<社説>新聞週間始まる 平和築く報道に徹する
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 きょうから新聞週間が始まった。時代は変化し、世界、日本、沖縄で、政治や経済、暮らしに関わるさまざまな出来事が起きている。新聞はそれらを伝え、国民の「知る権利」にどう応えていくか、読者と共に新聞の使命を考える機会にしたい。

 特に今は戦争あるいは戦争準備の時代といえるほど世界は危機に直面している。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した戦争は終わりが見えない。イスラエルとパレスチナも戦争状態だ。沖縄も無関係ではない。名護市辺野古の新基地建設が進み、自衛隊配備も強化され、「台湾有事」をにらんだ日米合同訓練や中国軍の演習が活発だ。
 そんな中、主要な言論機関である新聞は存在意義が問われている。本紙を含め日本の新聞はアジア太平洋戦争に加担した反省を決して忘れてはいけない。その反省を踏まえ、二度と戦争を起こさない、戦争に加担しない強い決意を基に、平和を築く報道に徹する誓いを新たにしたい。
 一方、インターネットの普及で新聞業界は苦境に立たされている。日本新聞協会の調べによると、昨年の国内発行部数は3084万部で、10年前よりも約1700万部減少した。ネットの時代において新聞はどうあるべきか、模索が続いている。
 こうした中でも、新聞が果たすべき役割がある。中でも最も重要な役割は権力監視だ。岸田政権は専守防衛を逸脱するような敵基地攻撃能力(反撃能力)の保持を表明、防衛費を5年間で43兆円確保し、軍事力強化を図っている。平和憲法をないがしろにするような権力の暴走を新聞は止めなければならない。
 一度戦争が起きれば、世界中が影響を受けることは、ウクライナ戦争が証明した。日本でも物価高騰は深刻だ。本紙はウクライナ戦争後、いち早く社説で「即時停戦」を訴えた。戦争が長引けば長引くほど、多くの人命が失われるからだ。わずか半年間で20万余が犠牲になった沖縄戦を経験した沖縄の新聞として当然の要求である。
 軍事基地がある限り、沖縄も戦争に巻き込まれる恐れがある。沖縄から軍事基地をなくすことは、東アジアや世界の平和をどう築くかという問題に直結している。そうした大局を見ながら、沖縄の歴史に照らして沖縄の人々はどうするべきか、絶えず提起する言論機関でありたい。
 本紙は今年、創刊130年を迎えた。沖縄の基地問題に対する全国的関心が高いとは言えない。無関心や沖縄ヘイトに立ち向かい、沖縄の不条理をただし続ける役割を担わねばならない。沖縄に関し、根拠のない誹謗(ひぼう)中傷や偽情報がはびこっている。ファクトチェックも重要だ。
 沖縄の言論機関として、「命どぅ宝」、人権、暮らし、自然など沖縄の大切なものを守り育む使命を改めて自覚したい。