<社説>裏金疑惑池田議員逮捕 関係議員は全員辞職せよ


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<社説>裏金疑惑池田議員逮捕 関係議員は全員辞職せよ
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 ついに現職国会議員の逮捕に発展した。自民党安倍派の政治資金パーティーによる裏金づくりを巡り、東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(比例東海)の逮捕に踏み切った。本来罪に問われるのは会計責任者だが、池田容疑者は共謀が疑われ、証拠隠滅の恐れがあるからだ。

 立件がどこまで広がるか注目されるが、重要なのは長期にわたる組織的な違法行為の全貌を明らかにすることだ。安倍派以外にも疑惑があり、政治不信は極限に達している。政治不信を払拭するには、まず違法性を認識している政治家が全員議員を辞すべきである。そして、今度こそ派閥を解消すべきである。
 その上で、使途公開が不要で裏金の隠れみのになっている「政策活動費」の透明化を含む、政治資金規正法の抜本改正を早急に行うしかない。
 政治資金規正法改正では、パーティー券購入額の公開基準を「20万円超」から寄付と同じく「5万円超」に引き下げる、収支報告書の虚偽記載・不記載の罰則強化、会計責任者が有罪になると政治家も連座する、などが論点になりそうだ。不記載が発覚すると記載ミスとして「訂正」で済ますことが横行しているが、即罰則を適用できないだろうか。政治資金を非課税で相続できる「世襲」特権も見直すべきだ。
 野党からは企業・団体献金の全面禁止の声が上がっている。立憲民主党は企業・団体献金とパーティーの禁止、政策活動費の規制を論点に党内で議論し、通常国会に関連法案を提出する意向だ。共産党は既に法案を参議院に提出している。
 政治資金規正法は、田中角栄政権の金権選挙問題を受けた1975年、リクルート事件、東京佐川急便事件を受けた92年、日本歯科医師連盟(日歯連)事件を受けた2005年など、事件ごとに改正されてきた。しかし、今回のパーティー券のようにその都度抜け穴が残り「ザル法」「いたちごっこ」と言われてきた。パーティー券の規制強化に「購入の事実を公開されたくない企業もあり、売りにくくなる」という声が自民党内にあるという。論外だ。
 そもそも、特定の企業・団体との癒着を防ぐためとして、税金を原資に政党交付金が1995年に導入された。毎年、国民1人当たり250円、約315億円が交付されている。企業・団体献金は禁止すべきである。
 自民党総裁でもある岸田文雄首相は年頭記者会見で、自民党内に総裁直属の「政治刷新本部」を発足させ、自ら本部長を務めると表明した。政治資金の透明性拡大、派閥の在り方を検討するという。
 衆参議員の約8割が派閥に所属している自民党に抜本改正ができるとは思えない。本気で反省し改革する決意を示したいのなら、関係議員全員の辞職からだ。