<社説>能登半島地震1カ月 総合的被災地支援を急げ


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<社説>能登半島地震1カ月 総合的被災地支援を急げ
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 能登半島地震の発生からきょうで1カ月となる。被害の全貌は明らかではなく、十分な支援が届いていない地域がある。ライフラインの復旧もまだ不十分だ。総合的な被災地支援が急がれている。

 石川県内では今も1万4千人以上が避難生活を続けている。その大半は体育館や集会所などの1次避難所に身を寄せている。2次避難が進まず、厳しい寒さの中、不便な暮らしを続けざるを得ないのだ。災害関連死の危機に直面する避難者もいるはずだ。
 断水は約4万戸で続いている。輪島市や珠洲(すず)市を中心に約2500戸が今も停電している。配電設備や道路の損壊が激しく、完全復旧には2カ月以上かかる可能性がある。
 政府は1日、復旧・復興支援本部の初会合を開催し、支援の政策パッケージの進捗(しんちょく)状況を確認する。足りていないものやミスマッチの現状とその解決法を探り、ただちに政策実行してもらいたい。
 復旧を支えるマンパワーも不足している。石川県が登録を始めたボランティアの活動が27日に始まった。ただ、特に被害の激しかった輪島、珠洲両市など半島の先端の自治体はボランティアを受け入れることができない。道路の亀裂や崖崩れなどが多発し、復旧が見通せないからだ。
 これら「奥能登」へとつながる道路などインフラの復旧を急ぐ必要がある。宿泊場所の確保など課題がクリアされ、ボランティアが訪れることが実現すれば、被災者の気持ちの支えにもなるだろう。
 被災地にとどまり、避難している人のほか、広域避難をしている人もいる。被災した人には、さまざまな支援ニーズがあるはずだ。受け入れ自治体を中心に的確に把握したい。沖縄県も受け入れを表明している。支援体制をしっかりと構築してもらいたい。
 義援金など支援の輪が全国、諸外国にも広がっていることは心強い。継続的な財政支援を続けたい。
 今回の地震は、災害への備えには不断の見直しが必要だということを如実に示した。
 珠洲市では、指定避難所に避難者が殺到し、受け入れ可能人数を上回る事態が発生していた。1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災で得られた教訓から、避難所については運営ガイドラインが作られ、市町村長による事前の指定が義務付けられるなど、いざというときのために、周知が図られていたはずだった。
 災害時は想定を超える事態が複合的に重なり合う。行動計画や物資の備蓄などの点検・練り直しをすることで、より十分な備えへと近づけていく努力は全国の自治体に求められている。
 沖縄においても災害に強い県土づくりが必要だ。耐震性の低い水道施設の更新が課題だ。県民生活レベルでも自宅周辺のハザードマップの確認や飲料水、非常食の用意など日常の備えを心がけたい。