<社説>ひとり親アンケート 早急な支援施策が必要だ


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<社説>ひとり親アンケート 早急な支援施策が必要だ
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 物価高が、生活苦にあえぐひとり親世帯を直撃している。当事者らでつくる「しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄」と琉球新報の合同アンケート調査で、物価高騰などにより、1年前に比べて「生活にゆとりがなくなった」との回答が77.5%に上った。

 所得の低い沖縄で、シングルマザーはより苦しい生活をせざるを得ない状況だ。食費を切り詰め、入浴の回数を減らすなど、切迫した状況にある。手厚い公的支援を振り向けてもらいたい。
 「米が買えない」「冷房の使用を控える」といった声が寄せられた。子どもの服や靴の買い換えができなかったことが「よくあった」「ときどきあった」が7割超に達した。「栄養のあるご飯を食べさせられていない」との回答もある。家計の事情で子の成長を十分に支えることができないのは親としてつらいはずだ。必要最低限をさらに切り詰める生活は「健康で文化的」と言えるだろうか。
 ひとり親世帯向けの児童扶養手当は物価によって支給額がスライドする仕組みだ。物価が上がれば増額される。手当の支給の意味合いを維持するための変動制である。
 2023年度は22年の物価上昇を反映させ、3年ぶりの改定で2.5%引き上げた。22年度比、第1子で月額1070円増だった。しかし、アンケートでは8割近くが「ゆとりがなくなった」と回答した。物価変動制が実態に見合っていないことの表れだ。
 24年度も3.2%の引き上げで、第1子で23年度比1360円の増額だが、出費を常に抑制している生活にどれだけ役立つのだろうか。
 岸田政権は、24年度から少子化対策の「加速化プラン」として3年間で集中的な取り組みを始める。児童手当、児童扶養手当の拡充が含まれる。児童扶養手当は所得制限を緩和し、第3子以降の加算額が引き上げられる。
 直ちに適用してもらいたいが、関連法案の審議のため、4月からの適用とはならない。児童扶養手当の拡充は11月からで、支給は25年1月となる。苦境にあえぐひとり親世帯にそのような余裕はない。
 第2子までのひとり親世帯では、高校生に月1万円が支給されることになる児童手当の拡充が当てはまる場合もあろう。ただ、これも10月分からの施行で、支給は12月だ。一刻も早い対応を求めたい。
 ひとり親の収入をいかに増やすかも課題だ。アンケートによると非正規が約6割を占めた。キャリア形成に向けたスキルアップの機会があることを知っていても、生活に追われて利用することができないのが実情だ。
 金銭的な悩みを抱えず、子どもを産み育てられる社会の実現は、ひとり親世帯にのみ資するものではない。少子化対策の側面だけではなく、誰もが暮らしやすい社会づくりに向けた施策の展開を急いでもらいたい。