<社説>旧統一教会系支援疑惑 文科相は辞任すべきだ


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<社説>旧統一教会系支援疑惑 文科相は辞任すべきだ
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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求を決定した盛山正仁文部科学相が、教団関連団体から選挙支援を受けた疑いが浮上している。2022年の自民党による調査には、同年3月に集会に参加したことのみを報告していたが、21年にも関連団体の会合に出席していたことが判明し、追加報告した。

 関連団体からの推薦確認書への署名については「記憶になく、確認できていない」との発言を繰り返している。
 文科相は教団への解散命令請求手続きを進める立場にある。会合に出席した人物は文科相として不適格だ。関係団体から支援を受けた事実を否定できないのなら、今後の手続きが公正に行われるか疑念は拭えない。盛山氏は文科相を即刻辞任すべきだ。岸田文雄首相は野党の更迭要求を拒否しているが、問題への認識が甘すぎる。更迭すべきだ。
 推薦確認書は教団側が望む政策への賛同を求める内容で、推薦状を出す条件とされる。教団側との「政策協定」との指摘もある。国政選挙に際し、教団関連団体が提示した推薦確認書に一部の自民党議員が署名したことが判明している。憲法改正のほか、LGBTや同性婚合法化への慎重な対応を掲げる内容だ。
 盛山氏は21年の会合について記憶にないものの「報道の写真を踏まえれば、集会に伺い推薦状を受け取ったのではと思う」と述べた。
 ただ推薦確認書に署名したかどうかについて、国会での答弁は二転三転した。野党の追及に「よく覚えていない」としながら「軽率にサインしたのはおっしゃる通りだ」と認めた。翌日になり「サインしたかどうか覚えていない。それ自体(推薦確認書)を頂戴していないのではないか」と述べた。お粗末な説明だ。
 野党が「十分な説明ができないなら辞任すべきだ」と指摘するのも当然だ。曖昧な態度を続けるなら文科相という重責は担えない。このような人物を岸田首相はなぜ文科相にしたのか、甚だ疑問だ。任命責任が厳しく問われる。
 文科省は宗教行政を所管している。昨年10月には、旧統一教会について献金被害が相次いでいるとして東京地裁に解散命令を請求した。今月下旬には、地裁が教団と文科省の双方から意見を聴く「審問」が初めて予定され、裁判が本格化する。こうした中、旧教団関係団体と接点があり、選挙支援の疑惑を払拭できない盛山氏に手続きを任せるわけにはいかない。
 林芳正官房長官も教団側との接点が取り沙汰されている。岸田首相もその一人で、岸田首相が党政調会長だった2019年に教団の友好団体トップらと党本部で面会したと昨年12月に写真付きで報じられた。「元米下院議長と面会したが、同席者は承知していない」との認識を繰り返している。両氏は国民が納得できるまで説明を尽くすべきだ。盛山氏だけの問題ではない。