<社説>オスプレイ抗議決議 政府は全会一致直視せよ


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<社説>オスプレイ抗議決議 政府は全会一致直視せよ
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 県議会がオスプレイの飛行再開に抗議し、配備撤回を求める決議を全会一致で可決した。屋久島沖での墜落事故を受けて飛行停止となったオスプレイの飛行再開に抗議し撤回を求めるのは当然だ。

 県議会がオスプレイの配備撤回や撤収を全会一致で求めるのは、2013年7月11日のオスプレイ追加配備抗議決議と意見書以来、11年ぶりだ。政府は全会一致の重い意味を直視し、県民の総意に真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 昨年11月29日、米軍横田基地所属の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが鹿児島県・屋久島沖に墜落し、乗員8人が死亡した。嘉手納基地に向かう途中で起きた事故で、一歩間違えば沖縄の民間地が巻き込まれる恐れもあった。
 意見書は事故原因の詳細や飛行再開に関する防衛省の地元説明は「極めて不十分」と指摘している。その上で「基地の運用を優先し、説明責任を果たさず、県民の命と安全をないがしろにする政府と米軍の姿勢に、地元自治体をはじめ多くの県民が強い憤りを感じている」と厳しく批判した。
 今回の事故で米国防総省は全世界でオスプレイの飛行を停止したが、説明を尽くさないまま飛行を再開させた。県議会の11年ぶりの全会一致による意見書可決の背景には、12年10月の米軍普天間飛行場配備後、国内外で事故が起きているにもかかわらず、抜本的な対策を講じないまま運用を続ける日米両政府への不信感がある。
 意見書は日米地位協定を抜本的に改定し、日本政府が米軍機事故などの際に調査権限を行使できるよう求めている。事故原因をひた隠しにしたままにする日米両政府に突き付けたまっとうな指摘だ。
 約3カ月の運用停止は異例で、米側が深刻な事故だと認識していたことがうかがえる。飛行中のトラブルは米兵のみならず、配備された地域や飛行ルートの近くで活動する住民らの安全に関わる。オスプレイを日本国内から撤収させることが最適な安全策のはずだが、日本政府はまたしても米側の説明をうのみにし、運用再開に合意した。
 防衛省は運用再開に当たって県内の自治体に出向いたが、事故原因は明らかにせず、一方的に再開を通告しただけだった。もはや米軍の御用聞きである。「米側から前例のないレベルで極めて詳細な情報提供を受けている」なら、原因を開示し理解を得られるまで飛行再開を拒むべきだった。
 県議会の指摘の通り、政府は独自に事故原因と安全対策を厳しく精査すべきだ。それができなければ飛行は認められない。今からでも米本国への撤収を米軍に迫るべきだ。
 強固な日米同盟をうたいながら米側に意見することもせず、国民の生命と財産を軽視するかのような対応が政府への信頼を損なわせていることにいいかげん気づくべきだ。県民の要求はオスプレイの沖縄からの撤収である。