<社説>ター滝で18人孤立 河川増水へ万全の対応を

 大宜味村の平南川周辺はほぼ手つかずの自然が残る。亜熱帯ジャングルを流れる風光明媚(めいび)な川がきばをむいた。自然の猛威に対する警戒心を緩めてはならない。大雨が降れば、河川に近づかないという基本を徹底する。それが教訓だ。

 11、12日の降雨で増水した平南川上流の「ター滝」で、在沖米軍関係者ら外国人18人が12日午後、4時間以上も孤立した。
 国頭地区行政事務組合消防本部による緊迫した救出活動は難航したが、18人は無事に救助された。幼児を連れた母親が取り乱す姿もあった。一歩間違えば、人命に関わる重大事になっていたかもしれない。
 亜熱帯気候の沖縄特有の強い雨が降り続いた際、河川が氾濫、増水する例が頻発している。雨が強い日には降雨状況の推移に神経をとがらせ、自ら身を守る防災意識を高めなければならない。
 ター滝特有の問題と過小評価することはもっての外だ。
 前日から雨が続き、増水していたター滝周辺でさらに雨足が強くなったのは12日午後だ。本島北部地方には大雨洪水警報が出され、午後3時までの1時間雨量は隣接する名護市で45ミリ、東村で41ミリを記録していた。
 亜熱帯気候の県内は、1時間に数十ミリ以上の豪雨を頻繁に記録している。断続的な雨が続く日に雨量が一層増せば危険な水準まで増水することは、少し気を付ければ予測できるはずである。
 琉球大学の仲座栄三教授は「まして小さな子ども連れの場合はより細心の注意が必要で、河川に近づくべきではなかった」と指摘している。
 2012年8月、同じター滝で外国人16人を含む41人が孤立した例がある。行政側も対応し、「急な増水で上流部に取り残される事件が頻発している」と注意を呼び掛ける日英両文の看板もあった。この日川上りしたメンバーはそれを目にしただろうか。
 沖縄の天候が急変する際、防災意識が薄いままレジャーに繰り出した米軍関係者が、危険に遭うケースは多い。在沖米軍全体で、台風や豪雨など沖縄の気候を踏まえた防災意識高揚に努めるべきだ。
 大宜味村は、平南川増水時に避難路となる遊歩道の設置を検討し始めた。備えあれば憂いなしである。自然景観との両立を図りつつ、万全の対応を尽くしてほしい。



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